GCOE CEDI Osaka Univ.

大阪大学グローバルCOEプログラム Center for Electronic Devices Innovation

大阪大学グローバルCOEプログラム 次世代電子デバイス教育研究開発拠点

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先端的な集積光電子デバイスの研究

10年、20年先を見据えた挑戦的研究を

研究に対する姿勢として、本研究室では「先端性」や「先進性」を重視しています。既存技術の応用や改良に取り組むのではなく、10年、20年先の将来を考えながら、集積光電子デバイスに関する挑戦的研究を続けてきました。実際、私が大学で光情報処理や光通信の基礎研究に取り組んでいた30年前、世の中で光ディスクや光ファイバー通信が今日のように発展普及すると考えている人は殆どいなかったですから。

集積光電子デバイスが開く情報社会の未来

本研究室では、社会的ニーズの大きい大容量・高速の光通信・光情報処理システムの構築と発展に繋がる、先端的な集積光電子デバイスの研究を進めると共に、光エレクトロニクスの可能性の拡大に努めています。研究テーマは、「非線形光学デバイス」「集積半導体レーザ」の2分野が中心。

例えば、レーザの波長を自由に制御できれば応用分野は非常に広がりますが、レーザだけでは制限も多く困難です。光の波長を変換するには、非線形光学を応用した光学結晶による波長変換デバイスが必要です。つまり、レーザ光源と波長変換デバイスを組み合わせる(集積する)ことで、レーザだけでは不可能だった波長の光を出す光源を創ることができるのです。このような光の波長変換デバイスは高度な光通信ネットワークでも、非常に有用な存在です。異なる波長の光に情報をのせて1本の光ファイバーで送る場合、どうしても同じような波長の光が衝突する可能性がありますが、光の波長変換デバイスを使うことで、そのような事態を避けることが可能になるわけです。

我々の研究の特徴のひとつは「集積化」。上の例では光変換デバイスと光源デバイスの集積で波長制御機能を実現しますが、半導体レーザ光源と光受信器の集積によりセンサー機能を実現させることが可能になります。また、デバイス技術を世の中で実用可能にするには、コンパクト化して大量生産に対応しなければなりませんが、こういった面でも集積化が必要になってきます。集積回路のかたまりのようなPCや携帯電話が良い例でしょう。ところが電子デバイスの分野ではLSIをはじめとした様々な集積回路が実用化されていますが、光を扱う集積回路はまだ多くはありません。我々は多くの集積光電子デバイスを実現することを目指して研究しています。

「自分達で考えて、実際につくる」それが我々のスタイル

将来の光技術を考える上で重要になってくるのが、光の最小単位である光子。単純に極限の通信や情報処理は何かと考えると、ひとつの光子に1ビットの情報をのせる概念に至るのです。そんな極限の世界への果敢な挑戦が、光技術の発展の道なのかもしれません。我々もこの挑戦の一翼を担うために、スクイズド光をはじめとする特殊な光、単一光子、光子対等を扱う量子フォトニックデバイスの研究を進めています。

「自分達で考えて、実際につくる」という我々のスタイルで、先端的・革新的なデバイスの研究と新たな応用分野の開拓を進め、新世代の量子光エレクトロニクス分野を切り拓いてゆきたいと考えています。

導波型非線形光学波長変換デバイス
導波型非線形光学波長変換デバイス
研究室内
研究室内
量子フォトニックデバイス概念図
量子フォトニックデバイス概念図
栖原 敏明 教授
栖原 敏明 教授

レーザとの出会いは私がまだ小学生の頃。雑誌に掲載されていたルビーレーザのイラストに、非常に興味を持ったことを覚えています。