GCOE CEDI Osaka Univ.

大阪大学グローバルCOEプログラム Center for Electronic Devices Innovation

大阪大学グローバルCOEプログラム 次世代電子デバイス教育研究開発拠点

HOME > 拠点目的・概要 > グローバルCOE研究紹介 >

有機材料による電子・光デバイスの開発

フレキシブルデバイスの魅力

丸めてかばんに入れたり、たたんでポケットにしまえる、そんなディスプレイがあったら楽しいと思いませんか?こんな夢のような技術が、有機発光デバイスなら実現できそうです。液晶でもなく、プラズマでもない、新しいディスプレイの開発が本研究室の研究テーマのひとつです。

超薄型ディスプレイ、光通信光源、
広がる有機発光デバイスの世界

私が大阪大学で研究を始めたのは約20年前。それまでは企業で半導体レーザーによる光通信の研究をしていましたが、せっかく大学で研究するなら新しい分野に挑戦しようと思い、萌芽期にあった有機発光デバイスの研究に取り組み始めました。有機デバイスの特徴は、常温常圧での印刷的手法によりプラスチックなどの素材上にデバイスを形成可能なこと。従来のシリコン系半導体の固い基板ではなく、柔らかなフィルム上に導電性のある有機材料を塗布することで薄くてフレキシブルな発光デバイスを製作できます。液晶と異なり自らが発光する有機発光デバイスはバックライトが不要なので、薄膜化が可能です。このようなデバイスがあれば、たたんだり丸めたりできるペーパーディスプレイ(電子ペーパー)、柱巻きディスプレイ、超長尺ディスプレイ、ウエアラブル(装着できる)ディスプレイなど、多様な用途への応用が期待できます。さまざまな市販有機材料を組み合わせることにより、いかに消費電力を減らして輝度を高めることができるか、それが我々の研究課題です。

上述のように、ディスプレイ用には発光効率の高い有機発光デバイスが適している一方、電気信号に対する応答速度が高い有機発光デバイスは、光通信の光源としての可能性も秘めています。有機材料を用いれば、プラスチック製の光ファイバー上に容易に光源を形成できる利点があるわけです。現状の光通信光源である半導体レーザほどの応答速度は望めませんが、短距離での光通信、例えば自動車内のLAN構築等には充分利用可能な光源です。本研究室でも写真のような装置を用いて、鮮明な画像送信に成功しています。

未来社会を照らせ!有機デバイスの光

私は、有機材料でしか実現できないディスプレイとは何か?有機材料の特性がいきる光源の応用展開は?を常に考え続けています。そして、今後はシステム関係の研究者の方々とも積極的に議論を進めていきたいと考えています。

「半導体の次は、有機材料で世の中を明るく光らせる!」そんな野望を胸に、これからも有機デバイス開発を進めていきたいと思います。

大森 裕 教授
大森 裕 教授
有機EL素子による画像伝送用光集積回路の光源への適用
有機EL素子による画像伝送用光集積回路の光源への適用

※有機ELによる実験の模様を動画で見ることができます。

私が電気に目覚めたのは中学生時代。当時、アマチュア無線に凝っていて、電気系の仕事に興味を持ちました。中高生時代は家の中にはいつもハンダごてがころがっていて、無線機なんかも作ったりしたものです。

大森教授