GCOE CEDI Osaka Univ.

大阪大学グローバルCOEプログラム Center for Electronic Devices Innovation

大阪大学グローバルCOEプログラム 次世代電子デバイス教育研究開発拠点

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電波と光、デバイスからシステムまで

電波と光をトータルに捉える視点

最近、地下街で携帯電話が繋がり易くなっているでしょう。あれは相手の電話から発信された電波が、地下まで直接届いているのではなくて、中継基地まで光ファイバーで情報を送って、そこから電波を飛ばしているからです。このように無線と光ファイバー伝送を組み合わせた技術をROF(Radio on Fiber)と呼んでいます。

但し、将来的に大容量の情報をROFで送るとなると既存の無線方式では容量が足りなくなり、周波数を上げる必要がでてきます。そうすると情報量は増えますが大気中での減衰が大きくなるため、遠距離間はやはり光ファイバーできっちり送らなければなりません。光ファイバーというのは、多量の情報が送れて、エネルギーロスも少ない、地球上では現時点で最高の情報伝達媒体なんです。この光ファイバーの利点を活かしつつ、利用者の利便性を向上させるにはROFが最良なわけです。そうなってくると何が必要でしょうか?高周波数に対応した高性能のアンテナ、高速光制御デバイス、加えて新たな全体システムの開発が必要になってくるはずです。これは光の技術だけでも、無線の技術だけでも不可能ですから、その両方をトータルに研究していこうというのが本研究室の視点です。

岡村 康行 教授
岡村 康行 教授
ROFシステム図
ROFシステム図

デバイス開発から、システム実証実験まで

本研究室の一番の特徴はデバイス開発からシステムまで、総合的な研究を行っているということ。材料の特性をいかした変調デバイスやアンテナの構成法を考案し、デバイスを実際につくりながら、ROFシステム全体の青写真も描いてみようじゃないかという研究室はあまりないはずです。

このスタイルで、2005年にはミリ波の光変調器を考案・試作し、実際に電波を光に乗せて光ファイバーで10kmほど伝送し、終点では信号を受信することに成功したわけですが、この結果に対してEuMC Microwave賞※を受賞できました。デバイス開発から全体システムの実証までをトータルに行ったことが評価されての受賞だったと思っています。この非常に速い電気信号で光をコントロールする光変調器は、本研究室の研究テーマである超高速光制御デバイスのひとつです。マイクロ波やミリ波といった速い信号にあわせて、光をコントロールすることは、特殊な方式では可能ですが、自由自在に制御する技術はまだまだ確立されているとはいえないのです。

※ EuMC Microwave賞
この賞は、マイクロ波関係の学会として有名な国際会議 European Microwave Conference における発表論文の中から、最も優れた論文1件に対して授与される。

人体に優しい光トモグラフィーシステム

本研究室では近赤外光を用いた高性能応用計測システムの研究も始めており、これも将来性が大きい分野です。具体的には光トモグラフィーによる人体内部の計測です。人間の生体を透過し、X線に比べて人体にもやさしい近赤外光を使えば生体内部の情報をある程度読み取ることができるのです。この技術は、将来的に脳腫瘍や乳がんの診察への応用が期待されています。

ユビキタス時代に夢を実現できる研究分野です

光ファイバーにしても、無線にしても、人類はそのパフォーマンスを使い切れていません。未だ開拓の余地がある技術です。あらゆるものに無線機器が入ってくるユビキタス時代を迎えようというときに、さまざまな場面を自分達で思い描ける研究分野に我々はいるわけです。自分が思った夢を本当に実現してみたいと思っている人に、是非取り組んでいただきたいと思います。

村田 博司 准教授
村田 博司 准教授
近赤外光を用いた
人体内部計測原理
近赤外光を用いた 人体内部計測原理
光トモグラフィーによる
画像イメージ
光トモグラフィーによる 画像イメージ

パソコンはずっとmac。
Windowsとの互換性の問題もあるんですが・・・そこは眼をつむって、使い続けてきました。今も教授室には数台のmacを置いています。