GCOE CEDI Osaka Univ.

大阪大学グローバルCOEプログラム Center for Electronic Devices Innovation

大阪大学グローバルCOEプログラム 次世代電子デバイス教育研究開発拠点

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原子間力顕微鏡(AFM)による自然との対話

予想外の現象を見い出す楽しみ

AFMによる我々の研究は一般的な工学とは少し違っています。普通は集積回路の集積度を2倍にするというような明確なターゲットを設定してアプローチしていきますが、我々は、もっと大まかな夢を設定してトライ&エラーで進んできました。

起こるはずがないと思っていたことが起こったり、予想外の現象が見えてきたりすることを、楽しみながらやってきた結果、1個1個の原子を見て、識別して、動かすことができるレベルにたどり着いたわけです。次の段階ではこの技術をさらに発展させて、いろいろな種類の元素を使って新機能や新物性を有するデバイス材料を創り、その可能性を調べてみたい。優れた機能を発現させるためにはどうしても多種の元素が必要なのです。また、ナノスケールでは量子効果が出てくるので、量子効果と多元素による新機能の組み合わせによる全く新しい可能性にも期待しています。

虚心坦懐に自然を見つめ、自在に分子を組み立てる

デバイス材料創製のさらに先の夢は、分子を創ること。できれば、高分子を自由自在につくってみたい。今はまだどうすればいいか考えている段階ですが、非常に難しいですね。普通の結晶と異なり、分子はいろんな結合が複雑に絡み合っており、その制御方法がまだわからない。でもなんとか10年ぐらいがんばれば、できるかなあという感じです。ただし、現状では分子関連の知識や経験を持った人が周りに少ないので、そういう人と一緒に研究できる環境を整えなければなりません。そういう意味で、本グローバルCOEのIDERには大変期待していて、すでに走り出しているものもあります。どんどん学際的な世界に入っていくはずですから、化学分野からドクターの学生を受け入れたり、高分子や触媒をやっている化学系の先生方との協力関係も強化したいと考えています。

分子組み立てよりさらに先は、夢のまた夢という感じです。しかし、我々の研究には、原子や自然と会話するような部分があり、虚心坦懐に自然を見つめ、自然と対話し、その中から思ってもみない新しい発想や現象が出てくることが多い。それを使って次の目標にもう一歩進めないかと考えます。

例えば、巨大分子である蛋白質の次にはウィルスや細菌に行き着く。これまで人類が鳥を見て飛行機をつくり、馬を見て自動車を創ってきたように、ウィルスや細菌に匹敵するようなナノマシーンやナノロボット(ナノット)を創ってみたい。実際にはエネルギーのやり取りや、外との信号の送受信をどうするのかということはまだなにも考えていないわけですが。こういった夢が実現するのは100年ぐらい先のことだと思います。

グローバルCOEが示す電気系の理想像

私自身、大阪大学理学部で博士号をとった後、東北大学、岩手大学、広島大学、そして現在は大阪大学というように環境をころころと変えてきました。様々な人と知り合うことができ、研究環境を変えるたびに古いものを捨てて新しい気持で研究に向かうことができました。

そんな経験から、研究者は1箇所でじっとしている必要はないと思っています。そういう点でも本グローバルCOEというのは、若い研究者が新しい研究環境に身を置くことができる、大変いいコンセプトだと思います。他と比べて代わり映えしないCOEプログラムが多い中、本グローバルCOEで実践されるIDERというのは、電気系の特徴や一つの理想的な姿を積極的に前に出せていると思います。正攻法による正面突破、そんな感じがします。非常に大変だとは思いますがこれを進めることによって、大阪大学の電気系には次のステージが見えてくるはずです。是非、研究室の壁を完全に取り払って、いろんな研究者を巻き込んでIDER から成果を出して欲しいと思います。それが若い人にとって非常に貴重な経験と実積になるはずです。

森田 清三 教授
森田 清三 教授
「森田研究室の今後のロードマップと夢」
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「100年後の夢:工学の夢・もの作りの夢」
「100年後の夢:工学の夢・もの作りの夢」

子供の頃は、国語でいろいろひっかかりました。一つは筆順。最終的に字のカタチになっていても直される。それと、文章から感じることは見方によっていくつもあるはずなのに、読解問題の答えが一つなのがよくわからなかった。結局、自分が納得できる数学や物理に進みました。