GCOE CEDI Osaka Univ.

大阪大学グローバルCOEプログラム Center for Electronic Devices Innovation

大阪大学グローバルCOEプログラム 次世代電子デバイス教育研究開発拠点

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未来社会を支える、パワーエレクトロニクスの力

電力を自在に操るパワーエレクトロニクス

本研究室での研究のキーワードである「パワーエレクトロニクス」とは、交流/直流の相互の電力変換、直流の電圧変換および交流でも種々の周波数へ、電気の形態を自在にしかも効率よく変換する技術を指しています。我々は太陽光や風力といった新エネルギーや、コージェネレーションによる電気と熱の同時供給および直流の利用を中心とした新しい電力システムの研究をパワーエレクトロニクス技術という切り口から進めており、最近は分散型電源と従来の電力システムの協調に関する研究に力を入れています。

電力は一方通行から双方向の時代へ

パワーエレクトロニクス技術は家電から大規模電力システムまで広い分野で使われています。例えば鉄道の場合、直流の電力を電車の中でさまざまな周波数の交流電力に変換して利用しているわけです。簡単に言うと電子デバイスである半導体のスイッチング素子による電力変換技術であり、制御性の向上と同時に効率を上げることが重要になります。

社会を支える基本インフラである電力の将来を考えるとき、地球環境への負荷が小さい発電方法を用いた分散型電源の普及が進むと考えられます。需要家が電気をつくるようになるのです。しかし、太陽光発電や燃料電池で発生する電力は直流であり、風力発電は風の強さによって出力が変わってきます。そういったものを既存の電力システムにつないでいくためには、何らかの電力変換が必要になります。ここでパワーエレクトロニクスの技術が活躍するわけです。

また、今までの配電システムは電力会社から需要家へと電力の方向は一方向でしたが、新エネルギーによる分散型電源やコージェネレーションが普及すると電力の流れが双方向になります。このような新しい流れに対応するため、我々は多様なデバイスを組み合わせた双方向配電システムの構築を目指しています。このような、電力システム全体の設計や制御の研究が、本研究室の最も得意とするところです。

加えて、分散型電源においては電力貯蔵技術も必要になってくるでしょう。従来、電力貯蔵方法としては電気を化学的エネルギーや力学的エネルギーに変える手法が一般的でした。これに対し、我々は超伝導コイルや大容量キャパシタにパワーエレクトロニクスの技術を組み合わせた応用システムで、電気を電気のまま蓄える研究を進めています。この方法では電気を、早く、効率よく取り出すことが可能です。これらの技術を使った電力貯蔵技術は既に企業の液晶工場で稼働し、雷の影響等による瞬時電圧低下防止に役立っています。我々が大学で始めた研究が最終的には国家プロジェクトにつながり、実用化に至りつつある成果のひとつです。

パワーエレクトロニクスが支える未来社会インフラ

電気エネルギーは現在も将来も社会インフラの基本であり、一瞬途絶えただけでも非常に大きな社会的影響が出てきます。地球環境への負荷を最低限にとどめながらいかにして電気エネルギーの安定供給を実現するか、エネルギー資源のことも視野に入れながら考えていかなければなりません。そういう意味で、パワーデバイス開発から新電力システムの制御技術に至るまで、パワーエレクトロニクスの果たすべき役割は大きく、本研究室もこの領域の発展に貢献したいと考えています。

超電導エネルギー
貯蔵装置(SMES)
超電導エネルギー 貯蔵装置(SMES)
太陽光発電装置
太陽光発電装置
キャパシタを使った
電力貯蔵のための制御回路
キャパシタを使った電力貯蔵のための制御回路

子供の頃はラジオやアマチュア無線が好きで、自分で作った無線機で実際に交信できた時は非常に感動しました。近くの電気屋さんから壊れたテレビをもらってきて、よく分解してましたね。
小中学校の頃から将来は電気をやると決めてましたから、迷うこと無く工学部の電気を選び今日に至っています。

伊瀬 敏史 教授
伊瀬 敏史 教授