平成21年度 実績報告書
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教育研究プラットフォームIDER研究成果/ポストドクター・GCOE研究員可 変 入 力 ト ラ ン ス コ ン ダ ク タ ン ス 増 幅 器 を 用 い た 低 消 費 電 力 可 変 利 得 増 幅 器 大倉 鉄 郎 大阪大 学 大学院 工 学研 究 科 電 気電 子 情報 工 学専攻 谷口 研 究 室 ア ブ ス ト ラ ク ト 本 研 究 で は、 2 段構 成 の オ ペ ア ン プ を 有 し た 可 変 利得増 幅 器 に お け る 低 消 費 電力 化 に つ い て 研 究 を 行 っ た 。 提 案 す る 回 路 構成 を 用 い る こ と に よ り 、 全 利得 範 囲 に おい て 可 変 利 得増 幅器 の 帯域 と 位 相 余裕 を 最 適化 す る こ と が 可 能 と な り 、 そ の 結果 、 従 来 回 路 よ り 最大 で 約 4 0% の低 消 費 電力 化 が 実 現 さ れ た 。 背 景 C C D イ メ ー ジ ン グ シ ス テ ム で は 一般 的 に 、 信 号 振 幅 を 的 確 に 制 御 す る た め 、 ア ナ ロ グ デ ィ ジ タ ル 変 換 器 の 前 段 に ス イ ッ チ ド キ ャ パ シ タ 型 可 変 利 得 増 幅 器 が 用 い ら れ て い る 。 ス イ ッ チ ド キ ャ パ シ タ 型 可 変 利得 増幅 器 は キ ャ パ シ タ に よ る 負帰 還 回 路 を 有 し た 高 利 得 な オ ペ ア ン プ に よ っ て 構 成 さ れ て い る 。 可 変 利得 増幅 器 は 、 こ の 負 帰 還 回 路 の 帰 還 率 を 制 御 す る こ と で 可変 利 得 を 実現 し て い る が 、 帰還 率 の 変 化 に よ り 可変 利 得 増 幅 器 の 帯域 、 位 相余 裕 は 変 化 して し ま う 。 可 変利 得 増 幅 器 を 設 計 す る 際 に は 、 帯 域 や 位 相 余 裕 が 最 も 悪 く な る 利得 に お い て 要 求 仕様 を 満 た す 必 要 が あ る が 、 つ ま り 、 そ れ 以 外 の 利 得 に お い て は 帯域 、 位相 余 裕 は オ ー バ ー ス ペ ッ ク と な っ て し ま い 、 消 費電 力 の 増 大 を 招 い て し ま う 。 そ こ で 従来 回 路 で は 2 段 オ ペ ア ン プ の 位 相補 償容 量 を 利得 に 応 じ て 制 御 す る こ と で 、 可 変 利 得 増 幅 器 の 取 り う る 全 て の 利 得 に お い て 帯域 を 一定 に し て い た 。 し か し な が ら 、 こ の 方 法 で は 位 相 余 裕 の オ ー バ ー ス ペ ック は 取 り 除 く こ と が で き て お ら ず 、 消 費 電 力 の 最 適 化 は 実現 さ れ て い な い 。 提 案 技 術 提案 す る 可 変 利 得 増 幅 器 で は 、 位 相 補 償 容 量 の 変 わ り に オ ペ ア ン プ の 入 力 ト ラ ン ス コ ン ダ ク タ ン ス を 制 御 す る こ と に よ り 、 帯域 、 位 相余 裕 両 方 を 全 て の 利 得 に おい て 一 定 に す る こ と を 可 能 に し た 。 帯 域 と 位相 余 裕 の 無 駄 な パ フ ォ ー マ ン ス を 削 除 す る こ と で 、 消 費 電 力 の 最 適 化 を 実現 し て い る 。 提案 す る 可 変 利 得 増 幅 器 に 用 い る オ ペ ア ン プ を 図 に 示 す 。 可 変 利 得 増 幅 器 の 利得 に 応 じ て 、 c tl 1, 2 ,3 を 制 御 す る こ と で 可変 ト ラ ン ス コ ン ダ ク タ ン ス を 実現 し て い る 。 可 変利 得増 幅 器 の 利得 が 最小 の と き に は 、 c tl 1,2,3 を 全 て オ フ 状態 に す る こ と で 入力 ト ラ ン ス コ ン ダ ク タ ン ス が 最小 に な る よ う に 制 御 す る 。 逆 に 利 得 が 最 大 の と き に は 、 c tl 1,2,3 全 て を オ ン 状態 に す る こ と で 入 力 ト ラ ン ス コ ン ダ ク タ ン ス が 最 大 値 を 取 る よ う に 制 御 し て い る 。 2 段 オ ペ ア ン プ の 入 力段 を 制 御 す る こ とに よ り 可変 な 入 力 ト ラ ン ス コ ン ダ ク タ ン ス を 実現 し て い る 。 ま と め 今回 提 案 し た 可 変 入 力 ト ラ ン ス コ ン ダ ク タ ン ス ア ン プ を 用 い た 可 変 利 得 増 幅 器 に よ り 、 帯 域 だ け で な く 位 相 余 裕 も 全 利得 範 囲 に お い て 一定 と す る こ と が 可 能と なり 、 従 来 回路 と 比 べ る と 最 大 で 約 40% の 低 消費 電 力 化 が 実現 さ れ る 。 図 1 提案型可変利得増幅器で用いられる オペアンプの回路図 89

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