平成21年度 実績報告書
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教育研究プラットフォームIDER研究成果/IDERユニット様式4グローバルCOEプログラム-次世代電子デバイス教育研究開発拠点-平成21年度IDERユニット研究成果報告書1.IDERユニット名称等ふりがないぬぶしゆういち役職ユニットリーダーの氏名・役職犬伏雄一特任研究員所属(部局・専攻・講座)大阪大学大学院工学研究科電気電子情報工学専攻先進電磁エネルギー工学講座高エネルギー密度工学領域兒玉研究室連絡先TEL06-6879-7802e-mailyinubusi@eie.eng.osaka-u.ac.jpユニット名称(日本語名および英語名の両者を記入)(日本語)電子デバイス材料診断へ向けた高輝度電磁波発生プラズマフォトニックデバイス開発ユニット(英語)Research unit fordevelopment of plasma photonic devicegenerating high luminescentelectromagnetic radiation towarddiagnostics of electronic device material2.研究開発の概要および平成21年度の研究進捗状況と成果提案した研究開発課題の背景、目的、および年度当初の計画について記入してください。また、提案した研究内容に関する進捗状況、成果について自由に記述してください。近年発展してきた超高強度レーザーを用いることで高エネルギー密度状態のプラズマが比較的容易に得られ,そのプラズマから放射される高エネルギー粒子(電子、イオンなど)やX線、EUV光、テラヘルツ波などは電子デバイス診断をはじめとする産業、医療などの幅広い分野において応用が期待されている。本研究ユニットでは、電子デバイス材料診断への応用を目指し,プラズマフォトニックデバイスを開発し,それらを利用した電磁波源の開発研究を行っている。今年度はテラヘルツ波発生、EUV光デバイスについて顕著な成果が得られており、その詳細を以下に示す。(1)2色のレーザーによるテラヘルツ波発生高強度超短パルスレーザーの基本波とその二倍高調波を、ガスターゲットに集光すると、ガスのプラズマ化に伴って生成された自由電子が、レーザーの電場により加速され、準直流電流を形成する。本研究では、その準直流電流により励起されるテラヘルツ波の発生に関して実験を行った。実験では、中心波長800 nm、パルス幅50 fs、エネルギー50 mJ程度のレーザーを基本波として用いた。その基本波のパルスを、集光レンズと二倍高調波発生の為のBBO結晶を通るようにした。集光レンズの焦点近くで生成されるフィラメントから発生されるテラヘルツ波は、軸外し放物面鏡によりゴレーセルに集光され、そのエネルギーが計測された。その最大値はおよそ1µJであった。更にBBO結晶と集光点の距離を変えることにより、基本波と二倍高調波の位相差を変化させ、テラヘルツ波の強度を調べた。図1にその結果を示す。テラヘルツ波の強度はsin2θに比例することが明らかとなった。今後は本方式を用いてこれまでにない強度のテラヘルツ波発生を目指すと共に、高強度テラヘルツ波を用いた物性研究への応用を試みる。(2)EUVデバイス開発へ向けた自由電子レーザー集光実験X線回折、散乱などは電子デバイス診断をはじめとする物性診断に広く用いられている。近年、EUV~X線領域における自由電子レーザー(FEL)の開発が進められており、その高い輝度と高い光子エネルギーから様々な分野への応用が期待されている。本研究では、その自由電子レーザーの高品質化あるいはその特性評価のために有用な、非線形光学現象についての研究を行った。実験ではSPring-8のXFEL試験加速器からのEUV-FEL(波長51nm、エネルギー10µJ)を集光径5µm(図2)で固体のスズに照射し、FELの集光エネルギー密度に依存する透過率の計測を行った。その結果、入射エネルギー密度が上昇するに従って、透過率が急激に上昇することが明らかとなった(図3)。これは、スズの束縛電子がEUV光により励起され吸収端がシフトし、飽和吸収が起きたためである。この非線形現象はパルススライサーやオートコリレータへの応用が期待される。74

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