平成21年度 実績報告書
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研究部門成果報告材料開発支援部門図2 金ナノ微粒子の分散によるコレステリックブルー相(BP)の温度範囲拡大図3 Agのbiharmonic構造(周期:300nm、600nm)におけるプラズモニックバンドギャップとバンド端(λ_)での蛍光増強参考文献[1] H. Yoshida, K. Kawamoto, H. Kubo, T. Tsuda, A. Fujii, S. Kuwabata and M. Ozaki: Advanced Materials, 22 (2010) 622.[2] M. Ojima, T. Noma, H. Asagi, A. Fujii, M. Ozaki and H. Kikuchi: Appl. Phys. Express, 2 (2009) 021502.[3] H. Yoshida, Y. Tanaka, K. Kawamoto, H. Kubo, T. Tsuda, A. Fujii, S. Kuwabata, H. Kikuchi and M. Ozaki: Appl. Phys. Express, 2 (2009) 121501.[4] M. Ojima, N. Numata, Y. Ogawa, K. Murata, H. Kubo, A. Fujii, and M. Ozaki: Appl. Phys. Express, 2 (2009) 086001.[5]K. Murata, M. Ojima, Y. Ogawa, Y. Fujiwara, H. Kubo, A. Fujii, and M. Ozaki: Appl. Phys. Express, 3 (2010) 041601.4.おわりに 当研究室では、次世代電子デバイスの基盤材料の一つと期待される有機材料の開発を通して各部門の教育研究を支援している。とくに、液晶などの自己組織化能を有するスマート分子の活用と、π共役系の発達した導電性高分子の応用をその中心テーマとしている。このような次世代新規材料により、高機能、軽量・安価、省エネルギー・低環境負荷な電子デバイスが実現されるものと確信して研究を推進している。3.液晶によるプラズモン制御とプラズモニックバンドギャップによる分子蛍光増強 金属内の自由電子は、通常の入射光とは効率的に結合しない。しかしながら、金属表面近傍あるいは金属ナノ微粒子などの限られた条件で、光と電子の効率的な結合が実現でき、光電場の増大などの興味深い現象が観測される。この現象をそれぞれ表面プラズモン、局在プラズモンとよぶ。われわれは、このプラズモンを外場応答性の液晶を持ちることによって制御する手法を開発した。すなわち、液晶の分子配向を電界により制御することにより、金属グレーティング表面上のプラズモン励起の制御を行った 。また、Biharmonic金属グレーティング構造上の導電性高分子からの蛍光を測定することにより、プラズモニックバンドギャップ(PBG)の発現を確認し(図3)、さらに、PBGのバンド端における導電性高分子の蛍光増強を観測した 。 6006507007500123456Wavelength (nm)Enhancement factor (arb. units)Band gapω+(λ−)ω−(λ+)陥が共存した三次元螺旋周期構造が形成され、コレステリックブルー相(BP)と呼ばれている。このBPは配向欠陥の存在によりエネルギー的に不安定であり、元々極めて狭い温度範囲(1~2℃)においてのみ発現していた。我々は、これまでに三次元高分子ネットワークなどの構造内にBP液晶を導入することによりBPの温度範囲拡大について報告してきた 。今回、新たに開発したナノ微粒子分散手法を用いて、BP液晶に金属ナノ微粒子を分散させることにより、BP温度範囲を拡大することに成功した 。特に、これまでの高分子ネットワークによる安定化が降温時においてのみ観測される準安定状態であったのに対して、微粒子分散による安定化は昇温時においても観測され、熱力学的に安定な状態が得られていることを確認している(図2)。また、微粒子分散による安定化はBPIIに置いて顕著であることも特徴である。[2][3][4][5] 00.00050.0010.00150.0021.61.71.81.922.1Wave number (1/nm)Photon energy (eV)PL peak wavelengthSP dip wavelengthBand gap43

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