平成21年度 実績報告書
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研究部門成果報告センシングデバイス部門参考文献[1]K. Takeya et al., “Terahertz Time Domain Spectroscopy for Structure-II Gas Hydrates”, Applied Physics Express , Vol. 2, December 4, 2009, pp122303-1-3[2]Lei Ren et al.,” Carbon Nanotube Terahertz Polarizer”, Nano Lett. Vol. 9, June 3, 2009, pp 2610–2613[3]R. Kinjo et al., " Observation of Strain Effects of SrTiO3 Thin Films by Terahertz Time-Domain Spectroscopy with a 4-dimethylamino- N-methyl-4-stilbazolium tosylate Emitter " Jpn. J. Appl. Phys, Vol. 48, September 24, 2009, pp. 09KA16-1-4[4]R. Kaneko et al.,"Detection of Pulsed Terahertz Waves Using High-Temperature Superconductor Josephson Junction", Applied Physics Express, Vol.3, April 9, 2010, 042701[5]H. Murakami et al,, "Magneto-optical detection of single flux quantum signals in superconducting quantum interference device”, Applied Physics Letters, Vol. 95, November 11, 2009, pp. 192503-1-34. まとめ 本研究では、新機能性電子材料の光テラヘルツ波機能の創製、テラヘルツ機能性デバイスの開発、並びに、テラヘルツ応用システムの開発に取り組んでいる。その中で、カーボンナノチューブのテラヘルツ波透過特性および機能素子への応用へ向けた基盤技術開発や、チタン酸ストロンチウムの歪み効果をテラヘルツ分光により計測し、強誘電性発現機構を議論した。また、ポンププローブシステムを組み込んだ新しいタイプのレーザーテラヘルツ放射顕微鏡の開発を行い、半導体材料のキャリアダイナミクスの空間的・時間的ダイナミクスの評価を開始した。超伝導テラヘルツデバイス開発では、電界検出型ジョセフソン検出器の開発、および高速・高分解能磁気光学顕微鏡による単一磁束観測に成功した。3. レーザーテラヘルツ放射顕微鏡の開発 様々なデバイス材料の光励起物性評価のためにレーザーテラヘルツ放射顕微鏡(LTEM)の開発を行っている。LTEMは様々な材料にフェムト秒レーザーを照射すると、励起領域からテラヘルツ波が発生することを利用して、光励起キャリアのダイナミックな動きをとらえることが可能である。分解能はレーザービーム径で決まるため、最終的にはナノスケールの分解能まで期待できる。今年度は従来のLTEMにポンプ-プローブ法を組み合わせた、ポンプ-プローブレーザーテラヘルツ顕微鏡を開発し、GaAsやInP等の光励起キャリアの空間的・時間的なダイナミクスを計測した。2. 高温超伝導体テラヘルツデバイス開発 超伝導体を用いた電磁波検出器は非常に高感度であるため、天文計測等に利用されている。我々は、応用上重要である半導体光スイッチから放射されるテラヘルツ波の計測を、高温超伝導ジョセフソン検出器を用いて行った 。THz波照射により発生する電圧シフトΔVをロックイン検出することで、明確なTHzパルス応答を得た。また、THzパルスを、ワイヤグリッド偏光子を用いて偏光した場合のΔVの偏光角依存性を測定した結果、cos4θではなくcos2θに良く一致していることから、応答シグナルが照射THzパルスのエネルギーでなく、電界に比例していることが明らかになった。これらの結果より、作製したジョセフソン検出器のTHzパルス応答は、光伝導アンテナからのTHzパルス照射に対しては、電界応答が支配的であることが示唆された。 またこれ以外には、高温超伝導ナノブリッジの作製および光応答計測や、超伝導デバイスの評価を目的とした、レーザー走査型磁気光学(MO)顕微鏡の開発に取り組んだ。レーザー走査型MO顕微鏡は、レーザースキャンにより高速に磁気光学像を観測でき、また高感度で局所的な磁気シグナルを電気信号、もしくは光信号として検出することが可能である。図2は高温超伝導体を用いて作製した微小SQUIDループに単一磁束量子h/2e=2.07×10 Wbの整数倍の磁束を発生させたときのMO信号である。単一磁束量子レベルの磁気信号が1kHzで変調する様子が明瞭に観測された 。この結果は、MO効果を利用した高速光変調システムの可能性を示すものとして非常に意義深い。[4][5]-1525

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