平成21年度 実績報告書
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研究部門成果報告センシングデバイス部門センシングデバイス部門大阪大学大学院工学研究科電気電子情報工学専攻杉野 隆、青木秀充、木村千春●「安全で快適な生活環境」を支える 機能デバイスの材料と表面制御 ITを支える電子デバイス、エコ、エネルギーをコントロールするためのデバイスは、いずれも界面、表面の制御がキーテクノロジーとなります。当研究室では、ナノ表面を制御した機能デバイス・材料の研究開発を行い、実用デバイスへの橋渡しをしています。特に、「安全で快適な生活環境」の創出に不可欠でかつ社会ニーズの高い主要産業5分野、①ITデバイス、②エネルギーデバイス、③パワーデバイス、④ディスプレーデバイス、⑤エコ・バイオデバイスを設定し、キーデバイスの材料および界面に関わる研究開発を進めています。図2 低誘電率(Lowk)用メチルBCN膜の配線構造 Cu配線新規Cuめっき技術層間膜新規LowK成膜技術メチルBCN膜LowK膜Cu配線Cu/Low多層配線例Cu配線新規Cuめっき技術層間膜新規LowK成膜技術メチルBCN膜LowK膜Cu配線Cu/Low多層配線例Ruバリア膜(難溶解性)Cu配線新規Cuめっき技術層間膜新規LowK成膜技術メチルBCN膜LowK膜Cu配線Cu/Low多層配線例Cu配線新規Cuめっき技術層間膜新規LowK成膜技術メチルBCN膜LowK膜Cu配線Cu/Low多層配線例Ruバリア膜(難溶解性)図1「安全で快適な生活環境」の創出に不可欠でかつ社会ニーズの高い主要産業5分野1. はじめに 「安全で快適な生活環境」を支える機能デバイスを実用的なものにするためには、固体(半導体、金属、絶縁体)の互いの界面、または固体(電極)と液体(溶液、燃料液)の界面の制御が重要になります。今回、社会ニーズの高い主要産業5分野(図1)に分けてそれぞれ、研究内容を紹介いたします。2. 先端LSI配線用Low-K(低誘電率)絶縁膜と周辺プロセスの研究開発 次世代システムLSIの高速化に向け、多層配線では、SiOC材料をベースとしてポーラス化した低誘電率(Low-K)層間膜の開発が進められています。ポーラス化により誘電率を低減できる反面、機械的強度が低くなる問題があります。これに対して、我々は,TMAB(トリスジメチルアミノボロン)ガスを用いてメチルBCN(ホウ素-炭素-窒素)膜を成膜することに成功し、機械的強度が高く、比誘電率もK=1.8を達成しました。(図2) 最近は、実際に配線構造を形成する上で重要となる加工プロセスへの取り組みへと研究を進めています。従来のSiOCベース膜に比べて、メチルBCNは、酸素プラズマ処理による膜質の変化がほとんどなく、安定していること明らかにしてきました。更に、低温ドライエッチング(基板温度:-25℃)技術を用いて、0.2μmの配線幅の構造を形成することに成功し、同時にLow-K膜中へフッ素の拡散も抑制できることを明らかにしました。 また、Cu配線のバリア膜として注目されているRu膜は、王水にも溶解しない難溶解性の材料であり、ウエハ上の余剰Ru膜をエッチング除去することが必要とされています。これに対して、電解エッチングにより、わずか0.1%の塩酸でRu膜を容易にできることを見出し、大幅に環境負荷を低減できます。現在、大手半導体メーカー数社の支援を受けながら、この電解エッチング機構の検討を進めています。3. エネルギー供給デバイス(エナージ・ハーベスティング、粉末燃料電池) エネルギー供給デバイスとして、一つは、エナージ・ハーベスティングを用いた発電デバイスと構成材料の研究開発、もう一つは、粉末燃料(ギ酸アンモニウム)を用いた燃料電池の研究を進めています。近年、身の回りのエネルギーを収穫して有効活用する環境発電(Energy Harvesting)技術が注目されつつあります。我々は、携帯サイズの発電素子をMEMS技術にて作製するにあたり、圧電方式と電磁誘導方式による発電素子IT電子デバイス・LSI配線材料の低誘電率膜 (メチルBCN膜)・環境負荷低減型プロセス (バイアスウェット)エネルギー供給デバイスエナージ・ハーベスティング(環境発電)マイクロ燃料電池(粉末燃料系) ユビキタス・エナージー社会構築ディスプレーデバイス・高性能電子源・無機エレクトロルミネッセンスパワーデバイス(ワイドギャップ半導体用)・AI系高誘電率(High-K )絶縁膜・界面処理(超臨界水等)エコ・バイオデバイスイオン交換膜(繊維膜)を用いた化学センサ・バイオセンサ (ヘルスモニタリング)22

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