平成21年度 実績報告書
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研究部門成果報告センシングデバイス部門参考文献[1]Koichi Kojima, Sachio Suda, Xiangyan Kong, Hideo Itozaki, “Non-destructive evaluation of semiconductor using laser SQUID microscope”, Physica C, Vol. 445-448, pp979-981 (2006)[2]G. Ota, H. Itozaki, “Emission of nuclear qua-drupole resonance from polycrystalline hexa-methylenetetramine,” Solid State Nuclear Magnetic Resonance, Vol. 33, No. 3 ,pp. 36-40,(2008) [3]H. Itozaki, “核四極共鳴(NQR)による爆発物・不正薬物の検知,” 日本磁気学会第167回研究会資料, pp. 29 (2009)[4]H. Itozaki, and Y. Yamauchi, Proceedings of SPIE - The International Society for Optical Engineering 7298, art. no. 72983X.や荷物に隠匿し国内に持ち込まれる不正麻薬の密輸を未然に防ぐことができる。さらに、鞄や衣類を透過する電波を用いるので衣類や荷物を触ることなく、中の物質を検知することができる。 空港でのNQR装置の実用化に向けて、用途に合った検知アンテナの構造が必要となる。一例として、NQR身体検査装置を図2に示す。衣服や身体の中に隠された物質を任意の箇所で検査できる小型で柔軟な検査ができる構造となっている。計測時間は、5秒以内であり簡便ですばやい計測が可能である。3. NIR容器内液体爆発物検知技術の実用化 液体危険物によるテロ防止のために、飲料水等の液体類の機内持ち込み前検査を目的として、NIRを利用した液体爆発物検知技術を開発した。検出装置の作製において、照射光には、短波長のNIR光(600nm~1100nm)を用いた。この光は,水を透過しやすいので、比較的大量のサンプルの測定が可能だが、吸収が微弱であることから、測定には高いS/Nをもつ高精度の分光光度計が必要となる。そこで当研究室では、専用の検出装置を開発した(図3)。 市販の飲料水PETボトルの多くは、ボトルの側面部がラベルで覆われており、光源と受光部との配置が問題となるが、この装置ではボトルの底部から光を照射し,底部で受光するので、多様なボトルへの対応が可能である。 作製した装置で、過酸化水素の濃度を変えてNIRスペクトルを測定し、その2次微分スペクトルについて、変動要因に液量・PETボトルの形状を組み込んだ多変量解析(重回帰分析・PLS回帰分析)から濃度推定を行った 。その結果、PLS回帰モデルでは、総量やペットボトル形状によって変動したスペクトルでも,十分な精度で濃度推定を行うことができ、重回帰分析よりも実用的な検量線が作成できることがわかった。よってNIR分光は、PETボトル内の過酸化水素水検知に有用であり、試作装置がペットボトル中過酸化水素水の濃度推定に対して十分な性能であった。[4]図3 NIR容器内爆発物検査装置21
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