平成21年度 実績報告書
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研究部門成果報告センシングデバイス部門センシングデバイス部門大阪大学大学院基礎工学研究科 システム創成専攻糸﨑 秀夫●超伝導・核四極共鳴・近赤外分光法を利用した センシング技術の開発 超伝導、核四極共鳴、近赤外分光法を利用したリモートセンシング技術の開発を進めた。超伝導では、レーザSQUID(超伝導量子干渉素子)顕微鏡を作製し、太陽電池の非接触検査を行って、太陽電池の異常個所を特定する技術の開発を進めた。NQR(核四極共鳴)では、特定波長のMHz帯のラジオ波を照射・検出することにより、爆発物・不正薬物のリモートセンシング技術を発展させ、NQR手荷物検査装置、NQR身体検査装置、NQR靴検査装置を開発した。NIR(近赤外分光法)では、容器内の液体危険物の検知技術として、非破壊分析である近赤外分光法を用い、PETボトル中での液体爆発物の濃度推定を行う試作検査装置を開発した。図2 NQR身体検査装置図1 Laser-SQUID顕微鏡の構成図14141414[1]1. レーザSQUID顕微鏡による非破壊検査 SQUIDは、最も高感度な磁気センサで、非破壊検査、異物検査など、幅広く応用研究が進められている。本研究では、図1のようなレーザSQUID顕微鏡装置で、半導体の非接触検査を行った 。 半導体にバンドギャップエネルギー以上のエネルギーを持った光を照射すると、光励起電流が流れる。この電流による磁場をSQUIDで測定した。レーザ照射位置とSQUIDの位置関係は固定し、その間で、サンプルのみをスキャンさせ、磁場像を得た。サンプルとして、多結晶シリコン太陽電池を用いた。780nmと1065nmのレーザを用い、レーザSQUID顕微鏡画像を取得したところ、ある結晶粒については、1065nmのレーザを使用した場合にはっきりと確認でき、この結晶粒の電気的特性が他の結晶粒と異なることを確認できた。2. 核四極子共鳴を利用した爆発物・麻薬探知技術の実用化 荷物や衣服の中に爆発物や不正薬物を隠匿し、空港のX線装置をすり抜けて機内に持ち込むケースが発生している。この様な事例に対し、本研究室ではそれらの物質を検知できる技術として核四極子共鳴(NQR)を研究している 。NQRでは、物質内の安定状態にある N(窒素原子核)に共鳴させるための周波数を持った電波を照射すると、 Nが共鳴し高いエネルギー状態に遷移する。遷移した後に電波の照射を止めると、 Nはエネルギーを照射しながら元の安定状態に戻っていく。この時に放出されたエネルギーは電波として観測することで物質検知を行うことができる。また、共鳴周波数は物質の構造ごとに異なるため、目的の物質だけを検知することができる。この Nは、爆発物や麻薬などに含まれるので、NQR検知装置を空港などに設置することでテロリストによる爆発物を用いた無差別爆破テロ、衣服[2, 3]20

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