平成21年度 実績報告書
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研究部門成果報告パワーデバイス部門図1. 室温におけるシートキャリア濃度とホール移動度の関係図2. 高品質ホモエピCVDダイヤモンドを用いて試作した検出器の軟X線検出における量子効率の印加電圧依存性。ホウ素ドープ層を挿入した場合(○印)としない場合(■印)との相違。入射軟X線のエネルギーは1 keV. 参考文献[1]T. Teraji, T. Ito: J. Cryst. Growth 271 (2004) 409.[2]O. Maida, H. Miyatake, T. Teraji, T. Ito: Diamond Relat. Mater. 17 (2008) 435.[3]T. Nakai, O. Maida, T. Ito: Appl. Surf. Sci. 254 (2008) 6281.[4]K. Arima, H. Miyatake, T. Teraji, T. Ito: J. Cryst. Growth 309 (2007) 145.[5]H. Matsubara, Y. Saitoh, O. Maida, T. Teraji, K. Kobayashi, T. Ito: Diamond Relat. Mater. 16 (2007) 1044.[6]Y. Iwakaji, M. Kanasugi, O. Maida, T. Ito: Appl. Surf. Sci. 254 (2008) 6277.[7] Y. Iwakaji, M. Kanasugi, O. Maida, T. Ito: Appl. Phys. Lett. 94 (2009) 223511.[8] M. Kanasugi, Y. Iwakaji, T. Yamamoto, O. Maida, Y. Takeda, Y. Saitoh, T. Ito: Nucl. Instrum. Meth. A (2010) in press.[9] M. Hamada, T. Teraji, T. Ito: J. Appl. Phys. 107 (2010) 063708.[10] S. Iguchi, O. Maida, T. Ito: Thin Solid Films (2010), in press.り、金属的な様相を示した。次に、この層の上にPt薄膜の自己凝集現象を利用したマスクを形成し、酸素プラズマエッチングにより、この高濃度ドープ層を数百nm以下のサイズの無数の領域に分割し孤立させた。その後、アンドープ層をホモエピさせた。このような試料のホール測定を行い、従来の報告値と比較したところ、図1に示すように、同一キャリア(正孔)密度における高濃度化に基づく移動度の低下がかなり抑制されることが実証できた。また、アクセプター不純物のホウ素の実効的な活性化エネルギーを低減できることも判明した。 一方、燐ドープn型(001)試料の場合、オフ角5度の微斜面(001)基板上のホモエピ成長については、デルタドープ的な積層構造にすると有効になることが示された。3. CVDダイヤモンド検出器の高性能化 ダイヤモンド電子デバイスとして最も早期に実用化が期待されるのは、最も高品質なCVDダイヤモンドを形成できるアンドープホモエピ膜がデバイスの主構造として活用できる検出器である。しかし、CVDエピ膜の品質向上とともに、低品質HPHT Ib基板への励起キャリアの拡散がデバイス特性に悪影響を与えることが顕在化してきた。この問題を解決するには、十分厚い高品質ホモエピ膜を成長させるか、あるいは、低品質基板へのキャリアの拡散を阻止するポテンシャル障壁層を設ける等の方法が考えられる。前者の場合、影響が無視できる程度のホモエピ層の厚さは、通常250μm以上であり、その程度の厚さがあれば、十分CVD自立膜が形成でき、そうすることにより完全にHPHT基板の影響を除去できる。一方、拡散障壁層を挿入する場合、その層の上側に高品質CVDダイヤモンド層を形成する必要があるため、ホモエピ層しか十分高品質なダイヤモンド層が形成される状況ではないことを考慮すると、不純物をドープ層したホモエピ層の積層構造以外には現状では方法がない。そこで、p型層をバッファ層の上に堆積させた後、アンドープ層をホモエピした積層構造にしたところ、図2. に示すように、特に低電圧印加領域において高効率で動作する検出器として有効であることが実証できた 。同図のデータは、エネルギーが1 keVの軟X線を検出した場合であるが、勿論、紫外線検出器としても低印加電圧領域の高効率動作も同様に達成されている。 また、燐ドープn型試料のオーミック電極形成プロセスにおけるイオン打込み・アニールプロセスの効用について、ドープした燐の局所的高濃度化が生じることによりオーミック化が促進されることを見出した。 :同研究室での報告値:本研究で作製した薄膜[10][8]15

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