平成21年度 実績報告書
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研究部門成果報告パワーデバイス部門./3←図5 実験による損失の分析結果図6 大容量回路の損失の計算結果参考文献[1] R.W.DeDoncker and J.P.Lyons:”The Axuiliary Resonant Commutated Pole Converter”, Proc. of IEEE-IAS Annu. Meeting, 1990,pp.1228-1235.[2] F.W.Combrink, H.du T.Mouton, J.H.R.Enslin, H.Akagi: “Design Optimisation of an Active Resonant Snubber for High Power IGBT Converters,” IEEE Trans. on Power Electronies, Vol.21, No.1, pp. 114-123, January 2006.[3] Y.Murai,K.Adachi,H.Ishikawa:‘’A Simple -Control New Soft-Switched PWM Inverter”,Proc. of 1998 IEEE-IAS Annual Conference,Vol.2,1307 -1312, 1998.4. 大容量回路の損失推定 1kVAミニモデルでの実験結果と回路シミュレータPSIMでのシミュレーション結果、そして公開された素子のデータシートを用いて、提案回路を大容量インバータへ適用した場合の損失を評価した。大容量IGBT(CM400HB-90H、4500V、400A)を使った直流電圧2250V、出力電流実効値200A、容量225kVA、スイッチング周波数2kHzのハーフブリッジインバータ回路で損失を評価した結果を図6に示す。素子のスイッチング損失が大きいため、ソフトスイッチングによる損失低減効果が補助回路での損失を上回る結果となり、大幅に損失が低減されることが示されている。5. まとめ MVA級の大容量インバータのために、主スイッチと補助スイッチに同じ制御信号を用いることができ制御が非常に簡単であり、また主スイッチにかかる最大電圧が変圧器によってクランプできる新しい回路を提案し、1kVAのハーフブリッジインバータ回路のミニモデルによる実験を行い、その特性を明らかにした。また、大容量IGBTを用いた回路の損失を推定し、大容量器ではソフトスイッチングにより損失が大きく低減されることを示した。 本回路における補助スイッチング素子には主スイッチング素子と同程度の電圧が印加されるが、実効値として流れる電流は極めて小さく、また高速動作が望ましい。このような観点からSiC素子など新しいパワー半導体素子の適用が有効であると考えられる。また、平成21年度は回路特性の把握のためハーフブリッジ回路で評価を行ったが、今後,大容量インバータで一般に用いられる三相ブリッジ回路での評価を行う。3. 実験結果 直流電圧V =200V、出力電流実効値I =10A、容量1kVA、スイッチング周波数2kHzのミニモデルでハードスイッチングとソフトスイッチング二つの回路で実験を行った。なお、デッドタイムはハードスイッチングインバータで3μs、ソフトスイッチングインバータでは10μsとした。また、実験と同様の条件で回路シミュレータPSIMを用いてシミュレーションを行い実験結果と比較した。主スイッチS の電圧と電流波形を図3および図4に示す。同図よりターンオン・ターンオフ共にソフトスイッチングされていることが確認できる。また、図4より主スイッチにかかる最大電圧は直流電圧のV =200Vの1.6倍の328Vに抑制できていることが確認できた。 この値は式(1)で計算される変圧器の巻数比n=4のときのV =300V (V =200Vの1.5倍)よりも大きな値であるが、これは変圧器の漏れインダクタンスの影響であり、電圧抑制のためには変圧器の漏れインダクタンスを極力小さくすることが重要である。 二つの回路の損失解析結果を比較した結果を図5に示す。図5より、ソフトスイッチングインバータでは全体の損失は補助回路での導通損失によって大きくなってしまっているものの、スイッチング損失の低減によって主スイッチでの損失が低減できており、主スイッチのスイッチング損失がハードスイッチングの9.7%まで低減できている。dcdcload2SMaxdc(b)実験図3 主スイッチS のターンオン波形(i =-11.8A)2load図4 主スイッチS のターンオフ波形(i =-10.8A)2load(a)シミュレーション(b)実験(a)シミュレーション13

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