平成21年度 実績報告書
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要となる様々な技術について広く議論することを目的としていた。岡村教授(基礎工学研究科)からのopening remarksを皮切りに、5件の招待講演、9件のポスター発表、1件のセミナーを中心に活発な議論が交わされた。 Abedin博士(NiCT)からは、ファイバ中の光強度が強くなったときに問題となるファイバーフューズの遠隔検出と遮断に関する最近の研究成果についてご講演いただいた。Eberhard先生(Aston University、英国)からは、高いスペクトル効率での長距離伝送を可能とするDPQSK方式のシンプルなレシーバに関する最近の研究成果を、またLim博士(DSO National Laboratories、シンガポール)からは、将来の量子鍵配送に必要となるもつれ光子対の生成とその配送実験についての最近の成果についてご講演いただいた。内田様(Arkray)からは、テラヘルツ波生成のキー媒質であるDASTの光損傷耐性向上に関する最新の研究成果を、また水津先生(名古屋大学)からは、DASTを用いた非線形光学過程に基づく広帯域テラヘルツ波生成に関する研究成果についてご講演いただいた。吉田先生(工学研究科)からは、最近光領域での活用が期待されているOFDMに関して、理論サイドからのレクチャーをいただいた。 一方、9件のポスター発表では、プラズモニック導波路中の負屈折やプラズモニックカプラによる偏光とモードの制御、非線形光学結晶中の差周波生成などの興味深い物理の内容や、次世代の大容量長距離光通信の実現のために必要となる分散補償の手法、安全な通信を実現するためのOCDMベースの伝送システムのデモンストレーションが発表された。また、電子デバイスのみでは実現が困難な100ギガサンプリング以上をターゲットとした全光A/D変換の新しいアプローチ、Radio on free space optics linkで問題となる光シンチレーションの影響についての実験的検討や、IEEE 802.11e WLANのサービス品質の向上に関する新しい手法に関する提案、漏洩同軸ケーブルを用いた無線サービスの空間選択配送の提案などが発表された。 講演者・参加者は"光"という共通項を持っているものの、それぞれのメインフィールドはマテリアル、デバイス物理、システムなど多岐に渡っていた。様々なバックグラウンドを持つ研究者が集まり、将来の光通信システムをキーワードに据えた多くのアイデアがパネルディスカッションで議論され、特徴的なワークショップとなった。 Frontier Workshop for Advanced Optical Communications参加者 139

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