平成21年度 実績報告書
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ら多数参加があった。 会議内容としては、国内招待者2名、海外招待者3名を含む、8件の講演があった。 基調講演として吉野勝美大阪大学名誉教授から現在の有機薄膜太陽電池の原理となる光誘起電荷移動の発見の経緯とその後の研究の展開、さらに薄膜太陽電池とならぶ有機太陽電池として注目されている色素増感太陽電池の開発状況について、詳しく説明いただいた。 フィンランドÅbo Akademi UniversityのRonald Österbacka教授から太陽電池で非常に重要となる電荷の輸送についての物理的解釈と電荷移動度の測定・解析手法について解説いただき、さらに有機薄膜中の特殊な2次元ナノ構造の重要性について言及された。 アメリカのベンチャー企業Solarmer Energy社のGang Li博士より太陽電池の効率改善の戦略の説明と最新の研究成果の報告があり、世界最高性能の有機薄膜太陽電池について言及された。現状で、エネルギー変換効率7.9%まで達成しており、8%、さらに10%へ迫ろうとする開発について熱のこもった講演をいただいた。 韓国のKwanghee Lee教授からは、高効率化の原理とその手法について報告があり、内部量子効率100%達成について説明があった。さらに印刷による太陽電池の作製目指した、特色のある技術開発の現状と成果について報告があった。 分子科学研究所の平本昌宏教授からは、有機材料の高純度化手法とその成果、及び超高純度材料をもちいた有機薄膜太陽電池の作製とその高効率化について報告があった。 その他、一般講演として、産業技術総合研究所の清水洋博士より、液晶の分子配向を利用した電気伝導とその光電変換応用、パナソニック電工の阪井淳氏より、バルクヘテロ構造におけるモルフォロジーと光電変換の関係、およびタンデム構造の開発の現状、大阪大学の藤井彰彦准教授より、次世代デバイス構造として、相互浸透型有機薄膜太陽電池の提案とその開発状況について報告があった。 いずれの講演についても、多数の質問があり、活発な議論がなされた。また会議終了後の懇親会においても、多数の参加者があり、会場のいたるところで講演者を囲んで議論の輪ができるなど、活発な議論はもちろんのこと、ワークショップの内容に限らず、今後の発展につながる、情報交換と研究交流がなされた。 Global Workshop on Organic Thin-Film Solar Cell, Dec.7,2009 137

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