平成21年度 実績報告書
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6.2 国際シンポジウム 今年度のグローバルCOEプログラム「次世代電子デバイス教育研究開発拠点」第2回 国際シンポジウム「電子デバイスイノベーションEDIS2009」(2nd Global COE International Symposium –Electronic Devices Innovation–)は、第1回の各分野における世界的研究者の招へいによる総花的シンポジウムではなく、若手研究者が開催したい研究テーマに絞った6つのWorkshopの集合体を国際シンポジウムEDIS2009として、各Workshopの焦点を明確にして開催した点が、前回と大きく異なる。 延9日間に出席した研究者は,海外からの16カ国74名を含む501名の多数にのぼり,テラヘルツからナノスケール評価解析まで,次世代電子デバイスの可能性を探る幅広い議論が行われ,将来への大きな成果を残した. ワークショップ1:The International Workshop on Terahertz Technology 2009 (TeraTech ’09)は、2009年11月30日(月)-12月3日(木)、グローバルCOEとの共催で、大阪大学中之島センターで開催された。国内外からの著名研究者の招待講演44件、一般応募講演100件以上が集まり、200名規模の参加者が一堂に会する賑やかな会議となった(会場の都合により、事前参加登録205名で制限)。多彩な講演者は、米国、ドイツ、オーストラリア、シンガポール、インド、フランス、中国、韓国など10カ国からの参加であった。当グローバルCOEは共催機関の一つとして協力し、さらにパラレルセッションとしてEDIS2009 Workshop 1を実施した。EDIS部分は招待講演8件、ポスター発表13件から構成され、招待講演は通信・電子デバイス関連分野の講演を集約した。以下、各講演内容を簡単に紹介する。 米AT&T シャノン研究所のBritz博士からは、PAN(Personal Area Network)のブロードバンド化に向けたテラヘルツ無線通信の重要性や今後の展望について講演いただいた。当グローバルCOEメンバーの永妻教授からは、テラヘルツ無線通信の実応用と、フォトダイオードを利用したテラヘルツ無線の最近の研究成果を紹介いただいた。米UCSBのRodwell教授からは、テラヘルツ周波数帯で動作するInP HBT、MOSFETデバイスと、それらを用いた集積回路に関する最新動向を紹介いただいた。本学基礎工学研究科の安井助教からは、テラヘルツ波の絶対周波数、スペクトル形状計測が可能となるTHzスペクトラムアナライザー、及び周波数コム技術を利用した連続波テラヘルツ光源の研究成果を紹介いただいた。米フロリダ大、TI社のSeok博士からは、45-nm CMOSプロセスで開発した動作周波数410GHzのpush-push電圧制御発振器(VCO)デバイスの紹介や、将来のテラヘルツ領域動作への展望などを講演いただいた。東京工業大学の浅田教授からは室温テラヘルツ固体発振素子として、GaInAs/AlAs共鳴トンネルダイオード(RTD)からの831GHzの基本波発振(出力1µW以上)、基本波発振として最高周波数の915GHzを発生した成果などを報告いただいた。フランスのモンペリエ第2大学・CNRSのKnap教授からは、電界効果トランジスタ(FET)の2次元電子の共鳴効果を使ったテラヘルツ検出素子に関する最近の研究動向を報告いただいた。東北大学電気通信研究所の尾辻教授からは、2次元電子のプラズモン共鳴による広帯域テラヘルツ放射デバイスの研究成果を報告いただいた。ポスター発表は、当グローバルCOEメンバーのテラヘルツ関連の研究を集め、拠点の成果発表を兼ねる形を取った。会場内に出展企業のブースがあり、軽食も用意されたことから、TeraTech’09参加者の多くが立ち寄り、盛況な会議となった。 135

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