平成21年度 実績報告書
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教育研究プラットフォームIDER研究成果/ポストドクター・GCOE研究員液 晶 性 有 機 半 導 体 の キ ャ リ ア 移 動 度 特 性 及 び デ バ イ ス 応 用 に 関 す る 研 究 三宅 康雄 大阪大学大学院 工学研究科 電気電子情報工学専攻 尾 﨑 研究室 ア ブ ス ト ラ ク ト 液晶性半導体はアモルファスシリコンと同等のキャリア移動度 (10 - 1 cm 2 /Vs オーダー ) が報告されて以 来、 溶媒への高い溶解性と自己組織化能を有する 有機半導体材料として注目を集めている。特にディス コチック液晶は 太陽電池のようなサンドイッチ構造のデバイスで有利な flat - on 配向 が優勢である 。 本年 度は、 代表的なディスコチック液晶であるトリフェニレンのアルキルアミド置換体及びアルコキシ及びアル キル長鎖を有 するフタロシ アニン誘導体の合成を行いキャリア移動度の評価と薄膜作製を行った。 ア ル キ ル ア ミ ド 置 換 ト リ フ ェ ニ レ ン の 液 晶 性 及 び キ ャ リ ア 移 動 特 性 代表的なディスコチック液晶であるアルキルアミド置換トリフェニレ ン誘導体 ( 1 ) を合成した。アルコキシ同族列と比べ液晶相が熱的に 安定化され、アルキルアミド長鎖の置換数及び位置が液晶相の安 定性に多大な影響を与えることを明らかにした。 Time - Of - Flight 法に よ って 10 - 5 ~10 - 4 cm 2 /Vs オーダー の液晶相における キャリア移動度 を 示し、 アルコキシ同族列よりも 1~2 桁程度減少した。 XRD 測定 による と両者の化合物で液晶相構造が大きく変わらないことから 、分子内 のダイポールがキャリア移動度に影響することを示唆した。 1 , 4 , 8 , 1 1 , 1 5 , 1 8 , 2 2 , 2 5 位 に ア ル キ ル 長 鎖 を 有 す る フ タ ロ シ ア ニ ン の キ ャ リ ア 移 動 特 性 本化合物 ( 2 ) は分子 積層秩序 の 低いカラムナー相を示すことが知られている が、炭素数 8 のアルキル誘導体で 1 x 10 - 1 cm 2 /Vs のキャリア移動度が報告され ている。本研究では、炭素数 9 及び 10 のアルキル誘導体を合成し、 キャリア移 動度 のアルキル鎖長依存性を調べた。通常、アルキル鎖長が増加すると液晶 相のディスオーダーが増加しキャリア移動度は減少するが、液晶相におけるキ ャリア移動度が正のキャリア移動度で 1 x 10 - 1 cm 2 /Vs 程度、負のキャリア移動度 で 2 x 10 - 1 cm 2 /Vs 程度であり、アルキル鎖長依存性をほとんど示さないことを明 らかにした。 フ タ ロ シ ア ニ ン - フ ラ ー レ ン 混 合 系 の 熱 相 転 移 挙 動 と 薄 膜 作 製 2,3,9,10,16,17,23,24 位にアルコキシ長鎖 ( 炭素数 4 及び 12) を有するフタロ シアニン ( 3 ) を合成し、 PCBM 及び C60 混合系 ( モル 混合 比 1:2, 1:1, 2:1) での 熱相転移測定を行った。いずれ の比率でもフタロシアニンの融点に変化は みられず、完全な相分離 構 造を形成していることがわかった。室温における スピンコート法では 均一な 薄 膜が 成膜できなかったが、 基板及びコート溶液 の加熱下で 均一な薄膜を成膜 に成功した 。 H ( H 2 C ) 5 O O ( C H 2 ) 5 H H ( H 2 C ) 5 O H ( H 2 C ) 5 O O ( C H 2 ) 5 H O O N H C 4 分子 1 N N H N N N H N N N R R R R R R R R R = ( C H 2 ) 9 C H 3 , ( C H 2 ) 8 C H 3 分子 2 N N H N N N H N N N R O R O R O O R O R O R O R R O R = ( C H 2 ) 3 C H 3 , ( C H 2 ) 1 1 C H 3 分子 3 112

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