平成19年度実績報告書
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評価解析支援部門2.5.2 原子レベルの物性計測技術の開発阿部真之電気電子情報工学専攻・准教授2.5.2.1 はじめに 原子サイズ超高分解能イメージング技術(ナノ力学)の確立において,本年度は超高真空や液中で動作し原子分解能を有する非接触原子間力顕微鏡の開発を中心に行い,デバイスやデバイス材料の計測やIDER支援をした.具体的には,以下に示す活動を行ってきた.2.5.2.2 超高真空原子間力顕微鏡の開発 原子と原子の間に働く原子間力に基づいた絶縁体も見える自家製の「室温・超高真空非接触原子間力顕微鏡」,「極低温・超高真空非接触原子間力顕微鏡」等の世界最高性能の各種原子分子観察・計測装置を用いて,半導体,金属,絶縁体表面や,表面に吸着・結合した原子や分子を観察する事により,新物質や新デバイスの基礎となる「原子レベルの新現象の探索」を行えるようなシステム構築を目指している.2.5.2.3 新しい物性計測手法の開発 原子間力顕微鏡を用いた新しい物性計測手法(フォースマッピング)を確立した(図2.5.2.1).具体的には,探針-試料間相互作用力およびポテンシャルの二次元空間分布を視覚化できるようになった.数種類の元素が存在する試料表面においてこの手法を適用することで,最大引力値から原子の識別が可能となった.フォースマッピングの利点は,従来のフォーススペクトロスコピーに比べて,大量のデータを測定することが可能であり,測定方法も簡単であり,解析も多少の時間がかかるがユーザーの負荷は少ない点にある.2.5.2.4 デバイスおよびデバイス材料評価に関する支援 本GCOE内で活動を開始したIDERユニットに対し,プローブ顕微鏡測定に関して技術支援を行った.有機材料に関しては共同で測定を行い,その成果として論文を発表しており(JJAP 47, 1094, 2008),さらにもう1本準備中である.現在,カーボンナノチューブやSTOバイクリスタル上のYBCO結晶に関して測定ができないかどうかを検討している.また,産業界からの依頼によるデバイス材料測定(1社)や測定技術に関する指導(1件)を行った.2.5.2.5 測定技術に関する要素技術開発 測定の信頼性や精度を向上するための様々な要素技術開発(DSP&FPGA制御,ソフトウェア,回路,機械設計)も進めている.今後,世界最高性能の超高真空非接触原子間力顕微鏡をさらに高感度化・安定化させ,GCOE内の研究グループと密接に連携を取る予定である.具体的な開発例としては,FPGAを用いた原子レベルでの探針位置制御手法(この手法自体は2005年度に開発を開始し現在も継続してい56

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