平成19年度実績報告書
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2.5 評価解析支援部門 「評価解析支援部門」は,「材料開発部門」,「設計支援部門」と密接に連携を図りながら,「高効率パワーデバイス部門」,「センサデバイス部門」,「フォトニックデバイス部門」の3部門を評価解析面において支援する.同時に,原子サイズ超高分解能イメージング技術(ナノ力学)の確立,第一原理に基づく高精度デバイス・プロセスシミュレーション技術の開発を行う. 原子サイズ超高分解能イメージング技術(ナノ力学)の確立において,本年度は超高真空や液中で動作し原子分解能を有する非接触原子間力顕微鏡の開発を行い,デバイスやデバイス材料に利用する技術の開発を行った.具体的には,原子と原子の間に働く原子間力に基づいた絶縁体も見える自家製の「室温・超高真空非接触原子間力顕微鏡」,「極低温・超高真空非接触原子間力顕微鏡」等の世界最高性能の各種原子分子観察・計測装置を用いて,半導体,金属,絶縁体表面や,表面に吸着・結合した原子や分子を観察する事により,新物質や新デバイスの基礎となる「原子レベルの新現象の探索」を行ってきた.測定の信頼性や精度を向上するための様々な要素技術開発(DSP&FPGA制御,ソフトウェア,回路,機械設計)も進めている. 第一原理に基づく高精度デバイス・プロセスシミュレーション技術の開発において,本年度は,新しい半導体材料GaNAsの磁気トンネル分光の理論(図2.5.1参照),クーロン特異性を厳密に扱うことがきるシミュレーション手法の開発(図2.5.2参照)などを行った.GaNAsなどの希薄窒化物半導体は,種々の応用が期待されているが,特異な物性の起源など未解決な問題も数多く残されている.磁気トンネル分光法を用いることにより,添加された窒素原子の電子状態に関して詳細な評価を行える.また,極めて小さなデバイスでは,不純物原子1個の有無がデバイス特性に大きな変化をもたらすが,その変化を量子論的に解析することが可能なシミュレーション手法を開発した. 今後,世界最高性能の超高真空非接触原子間力顕微鏡をさらに高感度化・安定化させ,また,高精度デバイス・プロセスシミュレーション技術を開発し,GCOE内の研究グループと密接に連携を取る予定である.2 研究部門成果報告 図2.5.1 新しい半導体材料GaNAsを活性層に持つ量子井戸の磁気分光トンネルスペクトルの理論.図2.5.2 (a) 不純物原子を持つダブルゲート型MOSFETの模式図.(b) ポテンシャル分布.(b)(a)53

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