平成19年度実績報告書
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2.4.1 分子機能材料・デバイス尾崎雅則電気電子情報工学専攻・教授部門長2.4.1.1 はじめに 本研究室では,液晶,共役系高分子などの分子材料を用いた,新しいエレクトロニクス・フォトニクス材料・デバイスの可能性を探求している.特に,自己組織化や大きな外場応答性などの分子の性質を積極的に活用した分子機能材料・デバイスを開発している. 2.4.1.2 液晶の物性解明と配向制御による機能デバイス応用に関する研究(a) エキゾティック液晶の構造・物性解明と機能化 コレステリックブルー相など三次元ナノ構造を自己組織的に形成するような,これまでの液晶とは異なる興味深い液晶材料の構造・物性を解明し,その機能応用の可能性を探究している.特に,コレステリックブルー相の三次元ナノ周期構造をテンプレートとして,あるいはその構造自体を活用したフォトニック結晶の構築や,高速光スイッチングデバイス,レーザーデバイス等への応用を検討している.(b) 新しい配向技術の確立と機能光学デバイスへの応用 干渉露光やレーザー直接描画法などの光書き込み技術を駆使して,従来のラビング法,光配向方法では実現できないサブミクロンサイズの微細領域における,液晶分子の配向制御手法の開拓を行っている.本手法を用いて液晶にサブミクロンオーダーの配向性を付与することにより,液晶自身の持つ自発的な配向特性との競合を誘起し,新たな分子配向状態の実現が期待でき,メモリー性を有するディスプレイや新たな原理に基づくディスプレイ,光スイッチングデバイスが可能となる.また,任意に液晶分子の配向方向を制御可能となるため,多機能な偏光制御デバイス等のアクティブ光学素子も実現できる.(c) 光学プローブを駆使した液晶の配向解析手法の開発 共焦点蛍光顕微鏡を用いて,液晶デバイス内の液晶分子の三次元配向状態を解析する手法を開発している.特に,フェムト秒レーザー光を光源とした二光子励起共焦点顕微鏡を用いることにより高い空間分解能で,しかも液晶分子の配向ゆらぎによる影響を抑えた分子配向状態の解析が可能となる.2.4.1.3 分子エレクトロニクス・フォトニクスデバイスの開発(a) 有機薄膜太陽電池の高効率化に関する研究 我々のグループが世界で初めて提案したπ共役系高分子/フラーレン複合体における光誘起電荷移動に基づくドナー・アクセプター型有機薄膜太陽電池の高効率化に関する研究を推進している.特に,制御された相互浸透ネットワーク構造のナノスケールでの構築を始め,種々の素子構造の検討,新規材料・複合系の探索などを行っている.また,高効率化に向けて励起子ダイナミクスの解明に関する研究も行っている.材料開発支援部門46

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