平成19年度実績報告書
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2.3.6 集積レーザーデバイス栖原敏明電気電子情報工学専攻・教授2.3.6.1 はじめに 本研究室では,将来の光通信や光情報処理,量子情報処理のための半導体レーザーを中心要素とする各種の集積フォトニックデバイスに関する研究を推進している.以下では本年度成果の概要を報告する.2.3.6.2 高出力分布ブラッグ反射型(DBR)レーザー 本グループ提案の曲線グレーティングとリッジ構造活性チャネルを用いた分布ブラッグ反射型(DBR)レーザー1)を基本形として,非線形光学デバイスの励起光源や各種光集積回路の光源としての応用を目指した波長780nm帯の高出力・高スペクトル純度の半導体レーザーの設計・作製・性能改善を行った.DBRグレーティング領域量子井戸無秩序化による受動損失低減,1次結合グレーティングの採用による反射率改善,窓構造形成と出力端面低反射コーティングによる光学損傷閾値改善により高出力化を図り,外部微分量子効率を20%から56%まで改善するとともに,閾値電流56mA,サイドモード抑圧比37dBの単一モード発振,最大出力112mWの性能を達成した2).図2.3.6.1 AlGaAs量子井戸曲線グレーティング分布ブラッグ反射型レーザーの構造と発振特性.2.3.6.3 導波モード変換器の導波モード解析と設計 リッジ型半導体レーザーの出力光を導波型非線形光学デバイスに高効率結合するための導波モード変換器の検討を行った.ビーム伝搬法シミュレーションにより,リッジ構造に適度な傾斜を設けることにより導波モードをレーザー部の垂直幅0.53μm対称分布から垂直幅1.64μm非対称分布に拡大変換でき,結合効率を33%から77%に改善できることを示した.リッジ導波路に網点パターンマスク分布露光とイオンエッチングでスロープを形成して導波モードを観測し,予測に近いモードサイズ変換機能を確認できた.図2.3.6.2 半導体レーザー集積用傾斜導波路型モード変換器の構造とシミュレーションおよび実験結果.フォトニックデバイス部門 出力光1次結合曲線DBRグレーティング量子井戸無秩序化領域 受動損失の低減窓構造 破局的光学損傷(COD)耐性の改善低反射コーティング COD耐性と外部微分量子効率の改善リッジ構造活性チャネルAlGaAs量子井戸反射率増大・放射損失低減 04080120160200020406080100120 出力光パワー[mW]注入電流[mA] 低反射コーティングなし(30%) 低反射コーティングあり(10%) レーザ部導波路出射端面レーザ部導波路出射端面 777778779780781-40-2001次DBRレーザ37dB光強度[dB]波長[ nm]42

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