平成19年度実績報告書
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2.3.5 次世代半導体レーザーデバイスの開発近藤正彦電気電子情報工学専攻・教授 近年のIT社会の爆発的発展により,情報伝送の急速な高速化および大容量化が求められている.ユビキタス社会を実現するために端末の無線化が進行しているが,その裏側では光通信が高速・大容量伝送を支えている.因って,光通信が今以上に重要な役割を果たすことに異論はない. 図2.3.5.1に,光通信速度のトレンドを示す.これまで,光通信の通信速度は,CPUの高速化の要求に応えてムーアの法則に従って高速化してきた.しかし,現在は,光源である半導体レーザの高速化は材料の物理限界から壁に直面している.つまり,IT社会の今後の発展の足かせとなる恐れがある.現在実用化されている直接変調可能な最速の半導体レーザは10Gbpsであり,次世代の40Gbpsのものが研究室レベルでやっと動作したところである.その先の高速化,例えば,100Gbps動作は,全く目処が立たない状況にある.図2.3.5.1 光通信速度のトレンド. 図2.3.5.2に,半導体レーザの利得媒質の長さと高速化の目安となる緩和振動周波数の関係を示す.現状の高速半導体レーザ(第1世代の端面発光型)の利得媒質長は200μm程度であり,緩和振動周波数は最高でも20GHz程度である.同図より,利得媒質長を短くすると緩和振動周波数が増加することが分かる.利得媒質長が数μmのところで100GHzを超える.従って,100Gbpsの動作も期待できる.しかし,僅か数μmの利得媒質長でレーザ動作させることは,従来技術の延長ではその実現の可能性は全く無い.図2.3.5.2 半導体レーザの利得媒質の長さと高速化の目安となる緩和振動周波数の関係.フォトニックデバイス部門40G19902000200519951M1G1T1P通信速度(bps)2.5G10G40G幹線系2010年ムーアの法則LAN系40G19902000200519951M1G1T1P通信速度(bps)2.5G10G40G幹線系2010年ムーアの法則LAN系 1010010000.11101001000緩和振動周波数 (GHz)利得媒質長 (μm)目標(本研究)第3世代のレーザ第2世代のレーザ第1世代のレーザ 40

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