平成19年度実績報告書
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2.3.1 プラズマフォトニクスと高エネルギー密度新物質創生兒玉了祐電気電子情報工学専攻・教授部門長2.3.1.1 電子デバイス材料診断へ向けた高輝度電磁波発生プラズマフォトニックデバイス開発 プラズマフォトニックデバイスとは,超高強度レーザーにより生成される高エネルギー密度状態を利用することで通常の光学系や制御デバイスでは取り扱うことが困難である超高強度光や高密度荷電粒子ビームなどの直接制御を行うデバイスである[1].具体的には,(1)高エネルギー密度電子ビーム制御プラズマデバイスの開発,(2) 光制御・光分散プラズマデバイスの開発,(3) 電磁波発生プラズマデバイスの開発を設定して研究を進め最終的には,電子デバイス材料診断への応用を目指し,高エネルギー密度プラズマデバイスを利用した電磁波源実現の開発研究を行っている.以下,本年度の具体的成果を示す. (1) プラズマを利用して超高強度レーザー生成高エネルギー密度電子ビームを制御するための物理機構の詳細が明らかになった[2-4].(2) 光制御プラズマデバイスに関しては,プラズマミラーによる集光[5],相対論プラズマを利用した時間変調パルス生成とこれによる電子加速を明らかにした[6].また周期性を持ったプラズマによるプラズマ分散素子の可能性を評価した[7].さらに電磁誘導透過を利用した超臨界密度プラズマ複素屈折率制御および高輝度テラヘルツ放射の可能性に関する理論的解析が行われた.(3) 電磁波発生プラズマデバイスに関しては,高密度相対論電子ビーム制御デバイスを利用した単色チェレンコフX線発生に関する数値評価とこれを実証するためのX線分光器,分布計測器の整備を行った.また高輝度テラヘルツ放射デバイスを目的に,超高強度レーザー生成高エネルギー密度電子をグレーテイング構造に伝搬させることで可視域の高輝度スミスパーセル放射が可能であることを世界で初めて実証した.放射の波長は周期構造に依存するため,テラヘルツ領域の新しい波長可変光源となる可能性がある[8].ワイヤーデバイスで制御された 10TW レーザー励起相対論電子ビームをマイクロパルスパワー高磁場で偏向しコヒーレントな GW クラスのテラヘルツ波を発生できる可能性がある.これを実証するため,ミクロ光源であるマイクロシンクロトロン放射デバイスに適応できるレーザー同期した20テスラーの磁場をマイクロパルスパワーで実現した.[1] R. Kodama et al., Nature 432, 1005 (2004).[2] J. S. Green et al., Nature Phys. 3, 853 (2007). [3] M. Nakatsutsumi et al., New J. Phys. 10, 043046 (2008).[4] H. Nakamura, Phys. Rev. Letts. 100, 165001 (2008)[5] M. Nakatsutsumi et al., Phys. Plasmas 14, 050701-1 (2007)[6] H. Nakamura et al., Phys. Rev. Letts., in press 2008[7] 近藤公伯,兒玉了祐, プラズマ・核融合学会誌 84, 199 (2008)[8] Z. Jin et al., Journal of Physics, in press 2008フォトニックデバイス部門32

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