平成19年度実績報告書
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2.2.4 テラヘルツイメージング 斗内政吉レーザーエネルギー学研究センター・教授2.2.4.1 超伝導フォトニックデバイスの開発伝導キャリアを制御することが可能である.現在,我々が発見したフェムト秒パルスレーザーによる磁束の発生・制御技術を発展させ,光入出力,光演算,および光メモリ機能などをもつ超伝導フォトニックデバイスの開発を進めている[1].図2.2.4.1はジョセフソン磁束フロートランジスタにパルスレーザーおよびパルス磁場を入力したときの出力電圧であるが,磁場および光信号にそれぞれ独立に応答しており,多値回路として機能することを実証した.現在デバイスの高速性の検証,およびさらなる高機能化を目指した研究開発を行っている.を独自に開発しており,これまでに,超伝導デバイス中の交流磁場の観測などに成功している.図2.2.4.2は超伝導デバイスの光学顕微鏡写真と,デバイス中の超伝導ループにトラップされた磁束をLMOMを用いて観測した結果である.またこの技術を発展させることにより,高速で磁気情報を光信号に変換できることから,超伝導デバイスやスピントロニクスデバイスなどの光出力インターフェイスとして応用可能であると考えている.2.2.4.3 レーザーテラヘルツ放射顕微鏡の開発 フェムト秒レーザー照射により試料表面付近で発生したテラヘルツ電磁波パルスの強度は単純な形 051015202503060 500Hz Ico パルス電流 (500Hz) Icoパルス電流(500Hz)+レーザー5mW(チョップ1KHz)Output Voltage (µV)Time (ms) 図2.2.4.1 ジョセフソン磁束フロートランジスタにパルス電流およびパルス光を入力したときの出力電圧 . 現在,CMOSを代表とするシリコンデバイスは,発熱及び遅延時間等の問題が深刻化しており,素子の微細化による動作速度向上が限界に達しつつある.さらに,間接遷移半導体でありかつバンドギャップが約1.2eVと光通信等に利用されている波長1.55 μm(約0.8 eV)の光信号に対する感度が低く,フォトニックデバイスとしては期待できない.これに対して,超伝導デバイスにおいては、バイアス電圧は基本的にゼロまたは非常に小さく,ゲート当たりの消費電力は半導体素子に比べて3桁程度小さくすることが可能である.また,超伝導ギャップエネルギーは高々数十eVであり,通信波長帯レーザーで直接超2.2.4.2 レーザー磁気光学顕微鏡の開発 磁束の分布およびダイナミクスを高速かつ高感度で観測するため,新規な磁気光学(MO)顕微鏡の開発を行っている[2].MO顕微鏡は,ファラデー素子を伝播する光の偏光面が磁界により回転する磁気ファラデー効果を利用しており,磁束の動的振る舞いを観測するのに適した手法である.我々は,光源にレーザーを用い,高速かつ高感度で動的な磁束を観察可能なレーザーMO顕微鏡(LMOM) 図2.2.4.2レーザーMO顕微鏡による,超伝導ループにトラップされた磁束の観察センシングデバイス部門.24

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