平成19年度実績報告書
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2.2.2 超伝導・核四極共鳴を利用したセンシング技術の開発糸﨑秀夫基礎工学研究科 システム創成専攻・教授2.2.2.1 はじめに 超伝導,核四極共鳴を利用したリモートセンシング技術の開発を進めている.超伝導では,SQUID(超伝導量子干渉素子)を試作し,微小磁場信号を検出するセンサを開発した.それを用いたレーザSQUID顕微鏡や非破壊検査などの応用を進めている.NQR(核四極共鳴)では,爆発物のリモートセンシング技術の開発を進め,地雷探知装置の試作などを実施した.2.2.2.2 SQUIDグラジオメータの試作雑音環境下におけるSQUIDによる微小磁場検出を目的に,高温超伝導YBCO薄膜を用い,信号対雑音比を大きくとれるグラジオメータの作製を行った.高温超伝導薄膜の作製は,PLD(パルスレーザ蒸着)法により,バイクリスタルSrTiO3基板上にエピタキシャル成長した.その際に,基板温度,酸素分圧を変化させ,作製したサンプルについて超伝導転移温度TCの測定,X線回折装置による配向性評価,FE-SEMによる表面モフォロジーの評価を行なった.成膜プロセスを最適化した結果,表面状態が平坦で,TCが90Kを越える高品位な超伝導薄膜が得られた.図2.2.2.1に,設計したSQUIDグラジオメータの構造を示す.図2.2.2.1左に示す全体図の中央を左右に横切る点線がバイクリスタル結晶粒界に対応する.全体図中央部を拡大したものを図2.2.2.1右に示す.グラジオメータの上下のループのバランスをよくするために,SQUIDループと対称に結晶粒界を挟んで補償ループを設けた構造となっている. 図2.2.2.1 SQUIDグラジオメータの構造. 図2.2.2.2 微細加工後の接合部. 成膜したYBCO薄膜を用い,Arイオンビームエッチングの条件を最適化することにより,図2.2.2.1に示す形状のSQUIDグラジオメータを作製した.微細加工後のSQUID部の拡大図(光学顕微鏡像)を図2.2.2.2に示す.作製したグラジオメータのSQUID部の -V特性を図2.2.2.3に示す.本プロセス条件により作製したSQUID接合部が良好に動作していることを確認した. 図2.2.2.3 SQUID部の -V特性. 図2.2.2.4 シールド外ノイズ特性.センシングデバイス部門Φ 補償ループSQUIDループ 100 µm Vpp=18µVΦ 20

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