平成19年度実績報告書
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2.1.1 分散電源システムにおけるパワーエレクトロニクス伊瀬敏史電気電子情報工学専攻・教授部門長2.1.1.1 はじめに 大阪大学伊瀬研究室では環境低負荷の未来の電力システムのための技術の創造を目指し,「パワーエレクトロニクスと電気エネルギー」に関する研究を推進している.研究テーマとして,環境低負荷の分散電源を多数含む新しい電気エネルギー流通システムの研究,高効率電力変換器を備えた分散電源および電力貯蔵装置に関する研究,超伝導電力貯蔵装置、直流広域ネットワークなど超伝導の電力応用に関する研究,パワーエレクトロニクスによる電力系統制御装置に関する研究があるが,これらの分野はいずれも次世代パワー半導体デバイスの適用による効果が大きい有望な応用先である.以下では,直流マイクログリッドおよびマトリックスコンバータによるガスエンジンコージェネレーションの系統連系に関する研究について成果の紹介を行う.2.1.1.2 直流マイクログリッド 環境問題を背景として,自然エネルギー発電やコージェネレーションなど分散電源の導入が進んでいる.更なる分散電源の導入促進のためにマイクログリッドと呼ばれる新しい電力供給システムの構築が挙げられる.太陽光発電や燃料電池等の分散電源や,二次電池・電気二重層キャパシタ(EDLC)等の電力貯蔵装置は直流出力であり,またガスエンジンなどの回転機であっても定格出力が20kW未満のコージェネレーションの多くは一旦直流に変換した上で交流に変換されているものが多い.当研究室では直流配電を用いたマイクログリッドを提案し研究を進めている.直流システムでは分散電源が連系する際に同期の必要が無いため,系統の瞬低時などの擾乱時に分散電源がトリップする可能性が低くなる.また,直流負荷に給電する場合はシステム全体で見たときに交直変換の回数が少ないのでパワーデバイス部門RectifierInverterControl BoadsDC Circuit BreakersDC/DC Converters図2.1.1.2 実験システムの外観.表2.1.1.1直流マイクログリッドに関する平成19年度研究実施項目.1.自立運転制御技術の開発・自立運転時の分散電源台数制御・EDLCを活用した連系運転時の制御法・連系運転と自立運転の切り替え制御2.システム特性の改善・デッドビート制御を用いた負荷側インバータの開発・半導体リレー,高速リレーを用いた遮断器の検討3.安定性評価・集合住宅規模の直流配電系統の安定性評価図2.1.1.1 想定するシステムの概念図.10

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